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·#046
文書管理特集#3

文書管理規程は、どこも似ているなのに、誰も読んでいない

どの自治体にも文書管理規程があり、その中身は驚くほど似ている。だが正直に言えば、日々それを読んでいる職員はほとんどいない。読まれない規程を、どうやって現実の動きに変えるか。受発番号の「一連番号」を10,20,30と読み替えた話を例に、NGWは規程を「動く仕組み」に翻訳する。文書管理シリーズ第3回。

どの自治体の規程も、驚くほど似ている

どの自治体にも「文書管理規程(文書取扱規程)」がある。文書をどう収受し、どう起案し、どう分類し、何年保存し、いつ引き継ぎ、いつ廃棄するか——文書の一生の作法が、そこに事細かに定められている。

そして面白いことに、その中身は自治体をまたいでも驚くほど似ている。当然だ。もとをたどれば、地方自治法や情報公開法、公文書管理の考え方という共通の土台があり、多くの自治体が標準的な規程例を下敷きにしているからだ。町が違っても、文書のライフサイクルの骨格は、ほぼ同じ形をしている。

なのに、誰も読んでいない

ところが——正直に言おう。その規程を、日々読んでいる職員は、ほとんどいない。(私自身、役所にいた頃がそうだった。)分厚い規程集は棚の奥で眠り、現場は「前任者のやり方」と「なんとなくの慣習」で回っていく。

規程には「本来あるべき文書のライフサイクル」が書いてある。だが、書いてあることと、実際にやっていることの間には、静かな隙間がある。保存年限を意識しないまま簿冊が積み上がり、引継や廃棄は後回しになり、いつのまにか「どこに何があるか分からない」状態へ近づいていく。規程は、正しい。ただ、読まれず、守られていないだけだ。

だから、私は規程を読んだ — 「一連番号」の余白

誰も読まないのなら、なおさら読む価値がある。文書管理を作るとき、私は規程を隅々まで読んだ。すると、たった一語に、設計の余白が見つかった。「一連番号」である。

受発番号について、規程にはこう書いてある。

番号は、会計年度による一連番号とし、文書受発簿(第1号様式)により番号をつける。ただし、文書主管課長が、文書の内容の種類等に応じ同一番号を用いることを適当と認める文書については、枝番号を付して処理することができる。

「一連番号」と聞けば、ふつうは 1, 2, 3… と、ひとつずつ増える番号を思い浮かべる。だが私は、こう考えた。10, 20, 30… と十ずつ増えるのも、立派な一連番号ではないか。

なぜ、そこにこだわったか。1, 2, 3 で発番していくと、必ずこういう人が出てくる。「この文書は、どうしても 1 の次に入れたい」。ところが、もう 20 番まで発番してしまっていたら、2 番以降を全部ずらして書き換えるしかない。しかも——すでに発送した文書の番号は、もう変えられない。 出ていった文書は、取り返せないのだ。

だが、最初から 10, 20, 30 と余裕を持たせておけば、話は変わる。10 の次に入れたい文書には、11 番から 19 番までの 9 つの椅子が用意されている。それでも足りなければ、規程がちゃんと逃げ道を書いてくれている——枝番号だ。「一連番号」と「枝番号」、規程に記されたこの二つの言葉だけで、番号の窮屈さは、きれいに解ける。

そして、この増分値(いくつずつ増やすか)も、自治体ごとに設定できるようにした。1 ずつでいい団体もあれば、10 ずつ余裕を持たせたい団体もある。規程の一語をどう運用へ落とすかは、団体に委ねればいい。読み込んだ規程の一行が、こうして「設定できる機能」に姿を変える。

規程を「読むもの」から「動くもの」へ

ここに、NGWの役割がある。規程がどこも似ているということは、裏を返せば、標準的な文書のライフサイクルを、共通の土台として作り込めるということだ。収受・起案から、分類・保存年限、簿冊、引継・廃棄まで——規程が理想とする流れを、あらかじめシステムの側に埋め込んでおく。

そのうえで、運用の差はカスタマイズで吸収する。文書を課で管理するか係で管理するか、引継・廃棄を文書担当者がまとめて行うか、書庫まで面倒を見るか、あるいは「とにかく起案書を共有できればいい」か——自治体ごとの事情に合わせて、締め方を変えられる。NGWは、導入してから「本来あるべきライフサイクル」を、その団体の身の丈で組み立てていけばいい、と考えている。

すると、何が起きるか。職員が規程を暗記していなくても、システムを使うだけで、自然と規程どおりに文書が回り始める。 保存年限は入力の時点で決まり、引継や廃棄は画面が促し、所在は常に記録される。棚で眠っていた規程が、はじめて日々の動きになる。

AIとの協働作業での学び

ルールを、人間の記憶と善意だけに頼ってはいけない。どんなに正しい規程も、読まれなければ、無いのと同じだ。大事なのは、規程を分厚くすることではなく、規程を動く仕組みに翻訳することである。

これは、以前メニューやルールをデータに追い出す話で書いたことと、根は同じだ。人の頭やコードに固めず、仕組みの側に持たせる。NGWがやっているのも、要するにそれだ。どの自治体もほぼ同じ規程を持っている——なら、その標準を土台に敷き、あとは各団体の運用に合わせて締める。誰も読まないルールを、誰もが自然と従える動きに変える。地味だが、これがいちばん効く。

(文書管理シリーズ第3回。第1回は分掌事務で管理する、第2回は収受・起案と受発簿。)