収受と起案は、受発簿から始まった文書の所在を管理する
NGWの文書管理は、大きな設計図からではなく、情報公開法に応えるための「文書の所在管理」から始まった。外から来る収受と、内から起こす起案。その二つの入口を、受発簿という一本の台帳で押さえる。文書管理シリーズ第2回。
情報公開法が、始まりだった
NGWの文書管理は、壮大な設計図から始まったわけではない。きっかけは、一本の法律だった。「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法、平成13年施行)である。
行政が保有する情報は、求めがあれば公開しなければならない。だが、公開に応えるには、その前提として「どんな文書が、いつ来て、いつ出て、今どこにあるか」を役所自身が把握していなければならない。文書の所在管理だ。所在が分からなければ、そもそも公開のしようがない。
この文書管理の原型が生まれたのは、平成13年、鹿児島県川辺郡知覧町でのことだった。当時、私はその知覧町役場の職員で、文書の所在管理を作り始めた張本人だ。最初から壮大な全体像を描いたのではない。目の前の「情報公開に応えるための所在管理」を、「まず、収受と起案を記録する」という一点から作り始めた。
その後、平成19年(2007年)の市町村合併で南九州市が誕生すると、この文書管理も南九州市のグループウェア——NGW——へと統合され、今に至っている。始まりは、ひとつの町の役場の、ささやかな必要だったのだ。
収受と起案 — 文書が生まれる、ふたつの入口
役所の文書は、大きくふたつの入口から生まれる。外から来る収受と、内から起こす起案だ。
収受は、郵便や電子メール等で送られてくる文書を受け付け、担当部署に振り分け、決裁・回覧し、簿冊に保管する作業である。

起案は、事務を遂行するための伺い等の文書を作成し、決裁・回覧し、郵送・送信し、簿冊に保管する作業だ。

入口はふたつでも、川筋はよく似ている。生まれ方が違うだけで、どちらも「決裁・回覧 → 簿冊に保管 → 保存年限が来れば廃棄」という同じ流れに合流する。文書のライフサイクルの、これが源流である。
受発簿 — 収受と起案を、一本の台帳に
そのふたつの入口を、一本の台帳でまとめて押さえるのが受発簿だ。受信(収受)した文書も、発信(起案)した文書も、受発番号という通し番号で記録していく。いつ、誰から・誰へ、どんな件名の文書が、どの分類・保存年限で動いたか——それが一覧で追える。
発信側の作り込みが、うまくできている。発信文書は、起案処理のなかで発番を取得することで、自動的に受発簿へ載る。担当者が別の台帳へ書き写す必要はない。起案という日常の作業が、そのまま所在管理の記録になっている。そして受発簿は、必要な時にいつでも印刷できる。
情報公開の求めが来たとき、まず開くのがこの受発簿だ。「文書の所在を管理する」という最初の目的は、この一本の台帳に結晶している。
AIとの協働作業での学び
大きな仕組みも、出発点は小さい。NGWの文書管理は、最初から「全文書のライフサイクル管理」を狙って設計されたのではなかった。情報公開法に応えるための「収受・起案を、受発簿で管理する」という、たったひとつの必要から始まっている。
そこへ簿冊が付き、棚と書庫が付き、引継・廃棄が付き、やがて全体像(全ての文書は分掌事務で管理する)へと育っていった。必要に迫られた小さな一歩を、正しい場所に置く。あとは、そこから無理なく広げていける。10年動く仕組みは、たいてい、そうやって始まっている。