今ある棚と簿冊を、登録するだけ現状から始める文書管理
文書管理システムというと「まず全部を理想の形に整理してから」と身構える。NGWは逆で、今まさに使っている棚と簿冊を、そのまま登録すれば動き出す。理想のライフサイクルは、導入してから育てればいい。低い入口こそが、続く文書管理の条件だ。文書管理シリーズ第4回。
「理想を全部整えてから」では、始められない
文書管理システムを入れる、と聞いて、現場が身構える理由がある。「まず、全文書を正しく分類し直し、簿冊を整理し、あるべき体系に並べ替えてから——」。理想の状態を、導入の"入口の条件"にされてしまうと、その整理だけで力尽きる。
忙しい役所で、そんな大掃除に割ける余裕は、たいていない。だから「いつか、落ち着いたら」と先送りされ、文書管理はいつまでも始まらない。完璧を入口に置くと、入口そのものが、越えられない壁になる。
NGWは、今の現実から始める
NGWの考え方は、逆だ。今、目の前で使っている棚と簿冊を、そのまま登録する。それだけで動き出す。
棚(キャビネット)には、いま現に「◯◯の綴り」「△△関係」といった簿冊が並んでいる。その現実を、あるべき姿へ直してから登録するのではない。今ある姿のまま、システムに写し取るだけだ。分類が完璧でなくても、書庫まで手が回っていなくても、構わない。「とにかく、今の起案書を共有できる状態」——そこから始めていい。
もっと言えば、粒度はうんと粗くていい。棚は「◯◯課の棚」、簿冊は「◯◯課△△係の簿冊」——とりあえず、その大づかみな単位だけで始められる。分掌事務ごとに簿冊をデフォルトで登録しておくこともできるし、保存年限も、ひとまず付けておけばいい。あとは稼働してから、実際に使いながら「本当に必要な簿冊」を足していけばいい。使ってみて初めて、どんな束ね方が要るかが見えてくるものだ。
そして、もし完全なペーパーレス化まで見据えるなら、分掌事務+保存年限を単位にしたフォルダを作る、という組み立て方もできる。現状の棚をそのまま写すのも、理想の電子フォルダ体系を敷くのも、同じ仕組みの上で選べる。入口はどこまでも低く、しかし行き先は高くとれるのだ。
簿冊は、文書をまとめる単位
簿冊とは、文書をまとめるための単位である。分掌事務ごと、保存年限ごとに文書を束ね、棚に並べる。NGWでは、この簿冊に、年度・分掌事務・保存年限・保管場所(どの棚か)といった情報を持たせて登録する。
やることは、難しくない。今ある簿冊の背表紙を見ながら、そのとおりに入力していくだけだ。手元の現実を、そのまま画面に移す。ここが済めば、収受・起案した文書は、その簿冊へ収められるようになる——第1回で見た「分掌事務を軸にした文書の流れ」が、ここから動きはじめる。
毎年ゼロからは、作らせない
現状から始められても、続けるのが面倒では意味がない。NGWには、日々の運用を軽くする仕掛けがある。
- 新年度簿冊登録 … 利用している簿冊だけを、新年度用にまとめて作成できる。毎年、全部を手で作り直す必要はない。去年使った簿冊が、そのまま今年の器になる。
- 簿冊一括更新 … 分掌事務・保存期間・保管場所・簿冊識別を、まとめて更新できる。組織改編や棚の移動があっても、一括で追従できる。
現状を写し取るのは最初の一度きり。あとは、去年の形を土台に、毎年少ない手間で回していける。
理想は、後から育てる
現状から始める、というのは、理想を諦めることではない。順序が逆なだけだ。まず動かし、使いながら、あるべき文書のライフサイクル——分類の精度、保存年限の徹底、書庫への引継、そして廃棄——を、団体の身の丈で少しずつ組み上げていく。
前回書いたとおり、NGWは「導入してから、本来あるべきライフサイクルを構築すればいい」と考えている。棚の一段から始めて、いつか書庫までを射程に入れる。始まってさえいれば、育てていける。
AIとの協働作業での学び
完璧な状態を、入口の条件にしない。これは、どんな仕組みを現場に入れるときにも効く原則だ。理想を掲げて「まず全部整えてから」と迫れば、たいてい何も始まらない。現状をそのまま受け止めて、まず動かす。動いてさえいれば、あとはそこから、少しずつ良くしていける。
今ある棚と簿冊を登録するだけで使える——その低い入口こそが、文書管理が10年使われ続けるための、いちばん最初の一歩なのだ。