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·#049
文書管理特集#9

決裁の時間を縮める、それがDXだ決裁箱を知らない世代が、もう庁舎にいる

NGWにとってのDXは、派手な新技術ではない。決裁を速くする、ただそれだけだ。2023年に作ったオンライン決裁は、紙とハンコの併用を残したのに、導入団体では8割以上が電子で決裁されている。長年の慣習は、正しい道具さえあれば、いとも容易く変わる。文書管理シリーズ第9回。

DXって、なんだ

DX——デジタルトランスフォーメーション。立派な言葉だが、現場でそれが何を指すのか、はっきりさせておきたい。NGWにとってのDXは、派手な新技術のことではない。意思決定のスピードを上げ、行政事務を効率化することだ。もっと平たく言えば——決裁を、速くする。突き詰めれば、これに尽きる。

2023年、オンライン決裁を作った

長らく、役所の決裁は紙だった。起案書を印刷し、決裁箱に積み、係長・課長・部長・副市長……と、机から机へ回していく。それぞれがハンコを押し、次へ送る。誰か一人のところで止まれば、そこで全部が止まる。出張が一日入れば、一日遅れる。

この紙とハンコの決裁を、画面の上へ移したのが、2023年に開発したオンライン決裁だ。決裁者を名指しで特定し、順に承認を回していく。いま誰のところで止まっているかも、一目で分かる(気づいてもらうために、Windowsの通知クライアントまで作った)。

ただし、いきなり全部を電子にしろ、とは言わない。NGWは、紙でもオンラインでも、どちらでも決裁できるようにしてある。長年のやり方を一夜で捨てるのは、どんな組織でもハードルが高い。印刷してハンコでもいい。自治体それぞれの都合とペースに合わせられるよう、逃げ道は残した。

しかし——慣習は、いとも容易く変わった

ところが、だ。蓋を開けてみると、導入した団体では、8割以上の文書が、電子で決裁されている。「紙とハンコじゃないと」と身構えていたのが嘘のように、現場はするりと電子へ移っていった。

長年の慣習というものは、正しい道具さえ用意すれば、いとも容易く変わってしまう。人は、変われないのではない。変わる理由と、変わる手段が、なかっただけなのだ。逃げ道として残したはずの紙は、いつのまにか、あまり使われなくなっていた。

決裁箱を、知らない世代

象徴的な話を聞いた。最近採用された若い職員のなかには、「決裁箱」を見たことがない者がいるという。紙の起案書を積んで、机から机へと回していく、あのお役所の定番の備品を、である。彼らにとって決裁とは、はじめから画面の中の操作なのだ。

これには、正直、驚いた。おいぼれプログラマとしては、感慨を通り越して、少しくらくらする。かつて汎用機の前で元号変換を徹夜でやっていた人間が、いまや、決裁箱を知らない世代の仕事道具を作っている。時代は、変わった。変わってしまった。

AIとの協働作業での学び

DXとは、たぶん、こういうことだ。魔法のような新技術で、ある日すべてがひっくり返るのではない。日々の面倒——決裁が遅い、どこで止まっているか分からない、判子を押しに席へ戻る——を、ひとつずつ地道に溶かしていく。 その積み重ねが、気づけば「決裁箱を知らない世代」を生んでいる。

紙を残す自由も、あえて残した。だが、良い道具は、強制しなくても選ばれていく。決裁の時間を縮める——その一点を実直に追いかけることが、NGWの考えるDXだ。派手ではない。けれど、確かに、時代は動いている。おいぼれプログラマの目の前で。

(文書管理シリーズ第9回。オンライン決裁の仕組みそのものは、続く回で詳しく書く。)