「少し大きく」で、ちゃんと伝わるアナログな注文が数値になるまで
「少し大きく」「ちょっとだけ下に」。数値ではなく、そんな曖昧な言葉でよく指示する。AIはその尺度を学んでいる気がする。最後は数値に落ちるのだが、何度もやり直すこの往復が、なぜか面白い。
「少し大きく」「ちょっとだけ下に」
AI に指示を出すとき、私はよくアナログな言葉を使う。「フォントサイズを 16px に」ではなく「少し大きく」。「上マージンを 8px 足して」ではなく「ちょっとだけ下に」。頭の中にあるのは数値ではなく、感覚だ。もう少し、あと少し、いや行き過ぎ——見た目を相手にする調整は、たいてい言葉にすると曖昧になる。
前に、ソースコードを見ながら「この xxxx 行目の xx を nn にして」と、行番号で正確に指示する話を書いた(別の記事)。これはその正反対だ。ピンポイントで数値を指す指示もあれば、輪郭のぼやけた「少し」で投げる指示もある。私は両方を、場面によって使い分けている。
尺度を、学んでいる気がする
面白いのは、この「少し」がちゃんと通じることだ。AI は、私の曖昧な言葉の尺度を、なんとなく学習している気がする。「少し」と「もっと」は違う。「ちょっとだけ」はごく僅かだ。そういう幅を汲み取って、最終的には具体的な数値へ落とし込んでくれる。アナログな注文が、どこかで digital に変換される。
もちろん、一発で決まるわけではない。むしろ何度も何度もやり直す。「少し大きく」と言って、大きすぎて、「戻して、半分くらい」と言って、今度は物足りなくて——その往復を延々とやる。だが、これが面白いのだ。
じつはこのブログの色も、そうやって決まった。「少し明るく」と言い、次に「少し淡く」と言った。私は一度も具体的な色コードを口にしていない。それでも、曖昧な言葉は、いつのまにか具体的な数値の色になって画面に返ってくる。今あなたが見ているこの青も、その往復の産物だ。
数字で言うより、面白い
不思議なもので、最初から「1」とか「5」とか数値で指示するより、「少し」で投げるほうが面白い。
理由を考えてみると、これは人間どうしの、ものづくりの会話に似ているからだと思う。職人が「もう少し温かい色で」と言い、「あと一歩引いて」と言う。数値ではなく、感覚を共有しながら、少しずつ正解に寄せていく。その反復そのものが、作る楽しさの一部なのだ。AI との調整に同じ手触りがあるのは、正直、意外だった。
曖昧と正確のあいだ
「行 xxxx の xx を nn に」という正確な指示と、「少し大きく」という曖昧な指示。私はこのあいだを自由に行き来している。
曖昧な指示が成り立つのは、見て、反応して、また言い直す——という速い往復のループがあるからだ。私が画面を見て「もう少し」と返せば、数値はやがて収束する。頭の中では最後までアナログなままの感覚を、アナログな言葉のまま投げて、向こうが数値に翻訳してくれる。この小さな快さは、使ってみるまで分からなかった。何度もやり直しながら、今日も「少しだけ」と言っている。
おまけ — これが、こうなった
じつは、この記事のもとになったのは、私がAIに投げた次の走り書きだ。原文のまま載せておく。この短いメモが、上の文章になった。「これが、こうなった」が、一目で分かるように。
アナログな会話から的確な数値を導き出す
「少し大きく」とか「ちょっどだけ下に」などよく使っている AIは、その尺度を学習している?気がする。最終的には数値化するんだが、これは何回も何回もやり直しているが、面白い! 1とか5とか指示するより、面白いのです。
走り書きが記事になり、その記事の末尾に、走り書きそのものが戻ってくる。ここに書いてきたことの、いちばん短い実演だ。